池上彰の解説内容について

テレビ朝日の番組で池上彰が解説する番組があるが、彼はいつも正しいことを言っているわけでは無いと言うことを書いてみたいと思う。

池上彰と言う人は、とても強情な性格らしく、滅多なことでは間違いを認めない。

10年以上前からインターネットに関する都市伝説を事実であるかのように解説を続けていた。インターネットというものは、米軍が核戦争になっても耐えられるように作ったものだというものなのだが、この都市伝説は結構有名なもので、多くの人が知っていることでもあるのだが事実では無い。

インターネットは、1本のケーブルでたくさんの情報をやりとりするにはどうすれば良いか、と言うテーマで日本やアメリカの大学の専門家等が研究し、完成させたものだ。

電話だと、1本のケーブルで1人しか使えない。このために距離が長くなればなるほどケーブルの占有率は高くなるために通信費は高くなる。所が、インターネットのように1本のケーブルで何人もの人が会話をしたり、信号の授受をすることができればたくさんの回線を張り巡らす必要がなくなってローコストになる、と言う考えで開発研究がなされたものだ。1本のケーブルで多くの人が話をしたら混戦してしまって何が何だかわからなくなると思うかも知れないが、それはアナログでの話であって、インターネットの場合音声などの信号をデジタル信号に変えて、小さなパケットという入れ物にデジタル信号を入れたうえで大量に送るという方式を編み出した。

このようにインターネットというものはあくまでも効率を追求したものなのであって、いつ起きるか知れない核戦争のために、などと言うことは全くの都市伝説でしか無いのだが、このことをテレビ朝日に何度指摘しても、しばらくすると池上彰は、平然と都市伝説の解説をすると言ったことを繰り返していた。

最近になって、いい加減に都市伝説の解説を止めるべきだという声が強まってきたからなのか、それとも専門家等からの指摘があったからなのかどうかは知らないが、突然あの話は間違いですと言い出した。まるで、誰かがそのようなことを言っているようなのだが、とでも言いたげで、自分が間違ったことを言い続けてきたとは決して言わなかった。

そういう話が世間に流布しているようだが、それは間違いです。と言うような言い方をしていたので、池上彰の話を長年同じ番組を通して聞いていた人はさぞや驚いたことだと思うが、要するに、池上彰と言う人は、自分の非をなかなか認めないし、認めたとしても自分が間違っていたわけでは無く、誰か見知らぬ人が言っているかのような言い方でごまかす人なのだ。

 

今回の池上彰の話でもいろいろと言いたいことがいくつもあったが、全てを書くと大変なので、中国の研究者についてだけを書くことにしたい。

池上彰と言う人はとてもナイーブな人だと言うことはわかってはいたが、今回の放送で改めてそのナイーブさが露呈したと言う印象を持った。

池上彰の話では、中国の研究者は228万人もいて、世界を圧倒しているというのだが、そうであるのなら世界を変えるような大発明が中国から出てこないのはなぜなのか?日本は、中国の足下にも及ばないと言うことのようなのだが、その日本が世界的な大発明を、近年だけでもいくつも成し遂げている。池上彰は科学的なことには疎いので知らないのだろうが、電気自動車の根幹の技術であるリチウムイオン電池を発明し、実用化したのは日本人だ。リチウムイオン電池が無かったらEVだけではなく、パソコンもスマホタブレットも、今とは随分違った物になっていたはずだ。

さらに、今ではパソコンに必須の技術であるフラッシュメモリ。これがなかったらパソコンもスマホタブレットも、大きくて重い武骨な物になっていたはずなのだが、フラッシュメモリという技術によって軽くて薄いものになった。これも日本人が発明したものだ。

フラッシュメモリと言っても何のことかわからない人もいるかも知れないので、あえて説明をすると、スマホやノートパソコンのデーター保存に使われているもの。さらに、SDカードやUSBメモリもそうなのだが、これらは全てフラッシュメモリと言うものによってデーターを保存している。

昔は、半導体のメモリは書き換えのできるものは電源を切るとデーターが全て消えてしまうので、HDDという円盤の上に磁性体を塗布したものに書き換えることで保存するしか方法が無かった。HDDは今でも使われてはいるが、円盤を高速で回転させ、小さなヘッドが回転している円盤の上を這い回ってデーターの書き込みと読み出しを行うために電気を食う。室内で電気のコンセントがあるところならHDDでも特段問題は無いのだが、コンセントの無いところで使うノートパソコンやスマホのデーター保存に対しては、電気を食うことはバッテリーが早くなくなると言うことでもあるので、今ではノートパソコンのデーター保存にはフラッシュメモリを使うのがあたりまえになっているし、スマホタブレットではフラッシュメモリは必須だ。

フラッシュメモリは、半導体でありながら書き込みが出来るし、電源を切ってもデーターは消えないというとても便利なものだからだ。

半導体なので、小さく薄く出来るし、電力もHDDと比べたらわずかしか消費しない。

フラッシュメモリができたからこそスマホタブレットもノートパソコンも薄くて軽いものが作れるようになったのだ。

まさに、世界を変えた大発明と言える。

それと青色LED。これはノーベル賞受賞となったものだが、世界を変えたとノーベル賞委員会から絶賛された発明だ。青色LEDによって、様々な照明から看板など様々なものが世界中で使われるようになった。LEDは長寿命で消費電力が極端に少ないために、パソコンのモニターやテレビなども長寿命になった。しかも、これだけではなく青色LEDによってレーザー技術が飛躍的に向上している。青色LEDによってレーザーの効率が飛躍的に良くなったことで、核融合発電が最近になって現実化してきたということがある。

さらに、今ではあたりまえになっている光通信。光に信号を乗せて長距離通信を行うことの出来る画期的なこの技術は、東北大学の西沢教授が発明したものだが、日本の馬鹿な経営者が西沢教授の論文の意味を理解できずに、光通信に必要な微細なガラス管などを製造することを拒否し、結果的にアメリカの会社が西沢教授の論文を見て設備を製造した上で特許を取るという日本からすれば大失態を演じた技術だが、西沢教授という日本人が発明したことに誰も異論は無いはず。こうしたことの全てが、まさに世界を変えた大発明だが、このような画期的な技術が近年において中国から生まれてきたという話は聞いたことが無い。
中国の研究者は10年で1,9倍の228万人になったと言うが、かつて中国の首相をしていた人物が首相だった頃に、中国の統計は当てにならないと言っていたのを知らないのだろうか。共産党は数字を勝手にいじるので、中国の言うことを真に受けるのは愚かだと言うことなのだ。

かつて、毛沢東共産党が政権を担えば何もかも自由になる。言論も自由だし、社会活動も自由になると言っていたが、いざ、共産党が政権を握ると竹のカーテンと呼ばれた強烈な鎖国政策によって広大な中国が密室状態になり、そこでは数千万人もの中国人が毛沢東という経済に無知な男の自画自賛の政策によって飢えや虐待などで殺された。

中国に限らず、共産党の上層部の言うことは、嘘ばかりで全く信用できないことはこれまでの歴史を振り返ってみれば簡単にわかるはずなのに、なぜか共産党の発表を鵜呑みにする人が未だにいるというのは驚くしか無い。

随分前に、日本の商社の社員で中国で長年業務を行っていた人が書いていたことだが、彼が言うには中国はコネ社会なので、共産党の関係者なら何にでも簡単になれる。研究者になりたいと言えばすぐに研究者になれるし、もっと上の地位にも簡単になることができる。コネと賄賂で成り立っているのが中国なのだ、と言うことを書いていた。逆に、コネもないし、賄賂に使うお金もないものはいくら努力をしても報われることは無いのだ。

習近平は、中国が賄賂社会であることをうまく利用して、叩けば必ずほこりが出る中国の社会構造をわきまえた上で、汚職を理由に政敵を排除すると言うことをしたのだが、汚職習近平の政敵だけでは無いことは中国人ならみんな知っていることだ。
さらに、千人計画というのは頓挫したと言うことを随分前にNHKの放送で見たし、日経の電子版でも見たことがあるが、随分前に頓挫したという話を今頃持ち出して来て、中国はすごいと言って賛美されても苦笑するしか無い。そもそもこんな世界中から優秀な技術者を千人もお金で買い集めてくるなどと言った計画を発表されて、欧米の国々の企業や政府が黙ってみていると思う方が異常だ。千人計画は発表された時点でアメリカは大変な警戒を示したし、日本やヨーロッパでも同じだ。勿論、日本から中国に行った人はいるが、そうした人は研究費に釣られていっているだけで、そうした人が画期的な大発明をするとも思えない。最先端の重要な技術と関わっているような研究者は、欧米各国では政府が国外、特に中国には出て行かないようにガードしているに決まっている。

また、技術者の方でも、かつて韓国や中国に高給に釣られていったのだが、最初はとても厚遇でもてなしてくれた。しかし、その人の持っている技術を全部吐き出させたら、解雇という状況になったことは皆知っているわけで、解雇されて日本に戻ってきても、自分を育ててくれた会社を裏切った裏切り者のレッテルを貼られて、どこからも雇ってもらえないという悲哀を味わっていることを知っている。

それなのに、池上彰は今後中国は科学技術に関する分野ではノーベル賞受賞者を独占するだろう、等とまじめな顔で言っているが、今年の受賞者からも来年の受賞者からも中国人が選ばれる可能性は全くと言って良いほど無いだろう。

私は、欧米に移住した人は別だが、中国に住んでいる中国人がノーベル賞受賞者を独占するなどといったことは、中国共産党が支配している限り100年経っても無理だと断言できる。なぜなら、鄧小平以降の改革開放の元では日本やアメリカなどから技術を盗んで、その盗んだ技術を使って安い人件費を武器に製品を作り、他国に輸出して大きな利益を上げ続けてきたのだが、そうした他国が開発した技術に依存している限りはノーベル賞受賞者など生まれるはずが無い。ノーベル賞受賞者になるには全くの新たな技術や発見でないとだめだからだ。

近年、日本も欧米も中国への技術の流出には神経質になっているし、アメリカはあからさまに中国への技術流出阻止を政府が率先してやりはじめている。こうした状況では、中国が世界に販路を伸ばし続けるのは容易ではないはずだ。

池上彰という人は、馬鹿なのか利口なのかよくわからないところのある人なのだが、ロシアの共産党が政権を取ったときも、中国共産党中華民国から政権を奪い取ったときも、いわゆる知識人と言われる人々は大変な弾圧を受けたのだが、そのことを知らないのだろうか。弾圧というのは、やってもいない犯罪の容疑をかけられて殺されたり刑務所に入れられたり、とんでもない僻地に連れて行かれて、重労働を強いられ、ここから出るなと命令されたりしたことだ。ロシアでは収容所群島というソルジェニーツィンが書いた本に作家本人が体験したことが体験記のように書かれているが、罪人で無いことはみんな知っていても、共産党に目を付けられたらおしまいなのだ。ロシアや中国よりももっと苛烈だったのは、カンボジアポルポトが政権を奪い取ったときだ。ロシアや中国では知識人を罪人にして奴隷のように無給で強制労働をさせるということをしたのだが、ポルポト派は知識人達を苛烈な拷問にかけて自白を強要し、有無を言わさず全て殺しただけでは無い。学校の教師でさえ知識人の烙印を押して殺したし、めがねをかけているだけでも知識人だと言って殺した。要するに、共産党の上層部にいる者どもは、どこの国であっても知識人が大嫌いなのだ。ただ、知識人は嫌いだ、だけをやっていると国は貧しいままでいなければならないので、鄧小平の改革開放以降は、技術者だけは技術に特化していればと言う条件で受け入れることにしたのだが、技術者と知識人は紙一重というか殆ど同じなので、共産党の上層部の輩どもは内心では余り多くの技術者を増やしたくないと思っているに決まっている。しかしながら、権力を握ると見栄を張りたくなるようなので、様々な立派なことを言うが、共産党の上層部の言うことなど毛沢東の例を挙げるまでも無く信用できないに決まっている。要するに、賄賂とコネで成り立っているような共産党独裁国家の国で、優秀な技術者など育つ筈が無いのだ。

中国共産党としては、国民に貧しい状態を続けさせているのも大きなリスクだが、西側のように知識人に自由にさせるのも良くない。そこで改革開放以降は技術的なことにだけに特化している限りは存在を認めよう。但し、少しでも中国共産党の意に反するようなことを言ったり何らかの行動をしたら権力を最大限に使って懲らしめてやる、という方針でやってきているのだが、こんな強圧的な国に行きたいと思う技術者はあまりいないだろう。日本や欧米では何の問題も無いようなことでも中国では逮捕され、何年も刑務所に入らなければならなくなる危険性が絶えずあるのだ。こんな危険な国に行きたいと思うのは余り優秀では無く、自国では全く待遇が良くないという不満を抱えた者だけだろう。逆に、優秀であればあるほど、中国になんぞ行かなくても良い条件で働くことが出来るので、あえて危険きわまりないところに出向く理由なんてあるはずも無いに決まっている。

池上彰のような科学やエレクトロニクス部門に全く無知な人が科学や電気に関することをいくら述べようが、そんなことは全く信用に値しないに決まっている。

池上彰は、いわゆる文系の人なので、文系に関することは傾聴に値するが、科学やエレクトロニクス部門に関することは、聞かなかったことにした方が良さそうだ。